金言
「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です」(エペソ人への手紙1:14)

説教題 「御国を受け継ぐ保証」
聖 書 エペソ人への手紙1章11~14節
説教者 栗本高仁師

 私たちは人生の中で、何かを待ち望み、心を躍らせるということを経験します。パウロは、神様からの祝福の3つ目として、「御国を受け継ぐ者とされている」(11節)ことを喜び歌います。

1)御国を受け継ぐとは?

 まず、御国を受け継ぐとはどういうことなのでしょうか。一つ目の祝福として「神の選び」、二つ目の祝福として「キリストの贖いと罪の赦し」を見ました。ここに共通していたことは、私たちが「神の子」とされるということでした。実は「御国を受け継ぐ」とは、「神の子」である私たちが、やがて天国において、父なる神様から相続を受けるということです(ガラテヤ4:7)。その相続分というのは、「朽ちることも汚れることも、消えていくこともない資産」(Iペテロ1:4)です。この完全な資産が、天に蓄えられており、私たちはやがて受け継ぐことができるのです。何といういう恵みでしょうか。
 ではその素晴らしい資産とは具体的にどのようなものなのでしょうか。黙示録21章には新しい天と地(天国)の様子が記されており、神様は「勝利を得る者は、これらのもの(天国にあるもの)を相続する」(黙21:7)と言われます。しかし、不思議なことに具体的なものは「いのちの水の泉」以外は出てきません。その一方で、繰り返し言われていることは、神様と私たち人が、ともに住むということです(黙21:3,7)。つまり、御国を受け継ぐ最高の「資産」とは、神様ご自身なのです。私たちは、愛なる神様の子どもとして、このお方と顔と顔を合わせた愛の交わりをなすことができるのです。

2)本当に神の子とされている?

 しかし、私たちは時に「本当に神の子とされているのか」ということを疑ってしまうことがあります。そのような私たちに、パウロは「このキリストにあって、あなたがたもまた、…約束の聖霊によって証印を押されました」(13節)と言います。「証印」とは、それを押されたものが「正真正銘の本物である」ことを証明する「しるし」(ブランドの商品に付けられる「ロゴマーク」など)です。つまり、私たちが正真正銘「神の子」であることを証明するために、神様は「約束の聖霊」による印を押してくださったのです。もちろん、それはロゴマークのように目に見える印ではないでしょう。しかし、「聖霊によるのでなければ、だれも『イエスは主です』と言うことはできません。」(Iコリント12:3)とあるように、信仰者とされた私たちの内に確かに聖霊が働かれたことを知ることができるのです。私たちが間違いなく「神の子」とされていることを覚えさせていただきましょう。

3)すでに御国を受け継いでいる?!

 だからこそ、パウロは「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です」(14節)と言います。しかし、これは単に「聖霊は、御国を受け継ぐための保証書である」ということではありません。実は、この「保証」という言葉には、「手付金」という意味があります。売買取引において、完全な支払いを保証するために、前もって支払われる金銭のことです。つまり、聖霊は私たちがやがて御国で受け継ぐ資産の一部なのです。それゆえ、私たちはすでに御国の一部分を相続しているのです。やがて神様との親しい愛の交わりができるということを見ましたが、「聖霊」が私たちの内に住んでくだることによって、もうすでにその交わりは始まっているのです。そして、この聖霊のゆえに、将来における神様と私たちとの完全な交わりが保証されているのです。次週にペンテコステを迎える私たちですが、聖霊との交わりによって「御国の前味」を味わってまいりましょう。

 私たちは「御国を受け継ぐ」という素晴らしい祝福が約束されています。その約束が、聖霊によって確かに保証されているだけでなく、すでにその約束の一部分(聖霊)をいただいています。そのことのゆえに、私たちもパウロのように、神の栄光をほめたたえさせていただきましょう。