金言
「見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます」(ルカの福音書2:10)

説教題 「あなたがたのための良きおとずれ」
聖 書 ルカの福音書2章8~20節
説教者 栗本高仁師

 クリスマスは、救い主誕生という「良きおとずれ(Good News)」をともに喜び祝うときです。大切な知らせであればあるほど、誰から伝えるのかが大切になってきます。それでは、この「大きな喜び」を一番初めに聞いた人物は誰であったのでしょうか。

1)一番初めに告げ知らされた羊飼いたち

 それは、王族の者でもなければ、宗教的中心に位置した人たちでもありませんでした。何と「羊飼い」たちに、まず知らされたのです。救い主イエス様がお生まれになったとき、人々はみな住民登録のために「自分の町に帰って」いました(3節)。しかし、羊飼いたちはどうであったでしょうか。彼らはいつも通り、野宿をしながら、羊の群れの夜番をしていたのです(8節)。彼らは、住民として、一人ひとり数えられることはなかったのでしょう。また、羊飼いたちは、社会的にも人々から蔑まれていました。法律を守ることができない者たち、というレッテルが貼られていました。
 しかし、神様はそのような「羊飼い」たちを選び、彼らにとても大切な、そして大きな喜びを告げ知らせたのです。しかも、それは「民全体に与えられる」知らせでした。彼らは民の代表となったのです。イスラエルの民の中で、このことを予想した人は誰一人いなかったでしょう。神様だけのスペシャルプランだったのです。
 このような神様が私たち一人ひとりのことを見て「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)と言ってくださいます。だからこそ、私たちは自信を持って、この「良きおとずれ」は「私のためのもの」であると言い切れるのです。この「大きな喜び」を聞く価値のない人などいません。この羊飼いたちの物語は「あなたを愛している」という、神様のメッセージなのです。

2)見出す羊飼いたち

 羊飼いたちはこの喜びの知らせを耳にしましたが、それは単に聞かされるだけのものではありません。「あなたがたは、布にくるまっている飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それがあなたがたのためのしるしです」(12節)と言われたように、この「良きおとずれ」は見出すことができるのです。
 彼らは、御使いたちが天に帰ってからこのように話し合いました。「さあ、ベツレヘムまで行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見届けて来よう」(15節)と。彼らは迷いなくイエス様を探しに行ったのです。そして、彼らは本当に「飼葉桶に寝ているみどりごを捜し当て」ます。もしかすると、彼らは何軒も回ったのかもしれません。しかし、彼らはその足を止めることなく探し続けて、そして救い主イエス様を見出し、喜んだのです。
 イエス様の弟子の一人であるヨハネという人も、イエス様のことをこのように証言しています。「初めからあったもの、私たちが聞いたもの、自分の目で見たもの、じっと見つめ、自分の手でさわったもの、すなわち、いのちのことばについて。…これらのことを書き送るのは、私たちの喜びが満ちあふれるためです」(ヨハネの手紙第一1:1)と。イエス様が生まれたのは2000年前のことですが、「良きおとずれ」そのものであるイエス様を、私たちも聞き、見つめ、さわることができます。どのようにしてでしょうか。それは、直接イエス様を目にした人たちの証言(=聖書のことば)を通してです。私たちの喜びが満ちあふれるために、この証言が書き送られ、今や私たち日本人が日本語で読むことができるのです。どうぞ私たちも一生涯、「主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見届ける」「イエス様を探す」、そのような旅を続けようではありませんか。「探しなさい、そうすれば見出します」(マタイ7:7)という約束のゆえに、私たちは必ず「イエス様を見出す」ことができるのです。