聖 句「わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」
(創世記12:3)
説教題 「回復の約束ー救いの基礎③」
聖 書 創世記12章1~3節
説教者 栗本高仁師
ここまで、神が造られた世界は「良いもの」であったということ、そして人はその良い世界を管理する尊い存在であったことを見てきました(第一回)。しかし、今の現実世界を見ると問題だらけに見えます。実は、その原因は、人がこの世界を造られた本当の神様から離れてしまった(それが罪の本質)ことにありました(第二回)。しかし、神様はそのまま放っておかれる方ではありません。
1)神様が主導権をもっている
神様は「この世界を良いものに回復させたい」、すなわち「この世界を祝福したい」と願いました。そのために、ある人を選びます。それがアブラムという人でした。
主(「主」とは神様の名前)は彼に現れて言います。「あなたは、あなたの土地、あなたの親族、あなたの父の家を離れて、わたしが示す地へ行きなさい」(1節)。まず、神様は「わたしが示す地へ行きなさい」と言われます。このことばから分かることは、神様の側で計画を持っておられるということです。つまり、神様が主導権をもっておられるのです。
ともすれば、私たちは「神はこの世界を見捨てた」と思っていることがあるかもしれません(嘆かわしい現実のゆえに)。しかし、聖書を読むとき、神様が私たち以上にこの世界のことを考え、その回復のために取り組んでくださっているということです。それゆえに、私たちが無力であっても、希望を持つことができるのです。
2)世界を回復させるための計画
神様の計画に従っていくとき、どうなるのでしょうか。続けて「そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする」(2節)と言われます。まず、アブラム自身が祝福されます(大いなる国民となり、大いなるものとなる)。
しかし、彼や彼から生まれる子孫(国民)だけが、祝福されるのではありません。主は「あなたは祝福となりなさい」(2節)と、もう一つの命令を与えます。どういうことでしょうか。続きを読むと、「わたしは、わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される」(3節)とあります。つまり、アブラムは受けた祝福を分け与えていくのです。そして、彼を通して、世界のすべての人々が祝福されます。
このように、神様はこの世界の回復(=神の祝福で満たすこと)を約束してくださったのです。
3)私たち人を用いる
この回復の約束を見るときに、大切なことに気づきます。確かに、神様が主導権をもっておられますが、神様お一人でこの世界の回復を実行されるのではないということです。
神様は「地のすべての部族は、あなたによって祝福される」と言われたように、人を通して、世界を回復させたいのです。実は、聖書を読んでいくときに、神様はそのことにとてもこだわっておられることがわかります。
しかし、それはとても不思議なことのように感じるでしょう。なぜなら、元はと言えば、人が神様から離れてしまったがゆえに、世界は破壊されていったからです。人を用いない方が、世界の回復は早いような気がします。でも、神様はそれでは意味がないと仰るのです。神様は、私たち人を尊厳あるものとして造り、そのような存在として今も見ておられるということではないでしょうか。ここに神様の愛が表されています。
神様はこの世界の回復を約束してくださいました。それは私たち人を通してなされます。それでは、この約束はどのように実現していくのでしょうか。次回以降、そのことを見ていきましょう。