聖 句「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。」 (イザヤ9:3)

説教題 「救い主誕生の約束ー救いの基礎④」
聖 書 イザヤ書9章1~7節
説教者 栗本高仁師

 神様は良いものとして、この世界を創造されました。人には、神様と一緒に良い世界を管理するという、特別な役割が与えられました(第一回)。しかし、自分が神になりたいという自己中心が芽生え、神様に背を向けたために、人はその役割を果たせなくなりました。そして、良い世界が、問題だらけの世界となってしまったのです(第二回)。しかし、神様は放っておかれることなく、世界を回復させる計画を立てます。アブラハムを選び、その家族を通して世界に祝福が広がるのです(第三回)。

1)神の計画は失敗?

 それでは、この神様の計画はどうなったでしょうか。実は、なかなかうまくいきません。アブラハム一家は増え広がり、イスラエルという民族になります。さらに、王様が立てられ、国家となりました。確かに「大いなる国民となる」(創世記12:2)という約束は果たされました。しかし、彼らが祝福となり、他の国々を祝福するという約束は実現しません。
 むしろ、イスラエルの民は「闇の中を歩んでいた」(2節)のです。彼らは、創造主であり、イスラエルの民を選ばれた神様に背き続けました。神様の正義を行わず、自己中心的な歩みをし続けたのです。その結果、国は分裂し、片方の国を他国に滅ぼされてしまいます。彼らは、祝福となるどころか、正反対の呪いとなってしまいました。
 しかし、それは単に過去の話ではなく、今も世界で起きている現実ではないでしょうか。人の悪はどれほど根深いかということがわかります。

2)救いの計画は「ひとりの男の子」に託された

 それでは、神様の計画は失敗に終わってしまったのでしょうか。そうではありません。神様は、私たち人間の悪を十分に承知の上で、世界の祝福のために計画を進めてくださいます。
 神様はどのようにして、その計画を進めてくださるでのしょうか。その答えが6節にあります。「ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる」。この男の子は、イスラエルの子孫として、世界を治める王となります。しかも、今までの王とは異なります。「その平和は限りなく」「さばきと正義によってこれを堅く立て」とあるように、正しく治めてくださる、というのです(6-7節)。
 神様は世界の祝福する計画を、この「ひとりの男の子」に託されたのです。その男の子こそ、2000年前にお生まれになった、救い主イエス・キリストです。このお方は、神様のひとり子であるがゆえに、まさに「力ある神」と呼ばれるのです。神様は、自らの唯一の子を送り出すほどに、何とか世界を回復させたいと願われたのです。ここに神様の「熱心」を見るのです(7節)。

3)闇から光へ、苦しみから喜びへ

 このような正しい王が誕生することによって、世界は変わっていくと、聖書は約束しています。「苦しみのあったところに闇がなくなる」のです(1節)。つまり、「闇の中を歩んでいた」人々の上に「光が輝き」、「大きな光を見る」ということです(2節)。まさに、イエス様ご自身が光そのものとなってくださいます。
 その結果どうなるでしょうか。彼らの上には「喜び」が満ち溢れます。それはまるで「刈り入れ時」のように、「分捕り物を分けるとき」のようにです(3節)。
 まさに、これこそが聖書が伝える「救い」です。私たち人は、今なお暗闇を経験しています。しかし、救い主イエス様が、その暗闇を照らしてくださり、喜びを与えようとしておられます。

 このようにして、神様は世界を祝福するという計画を成し遂げるために、救い主を私たちに与えてくださるという約束をしてくださいました。救いは、私たちが何かをして得るものではなく、神様が与えてくださるものです。その救いを感謝をもって受け取らせていただきましょう。