聖 句「しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」(使徒の働き1:8)

説教題 「私たちの力によるのではなく」
聖 書 使徒の働き1章3~14節
説教者 栗本高仁師

 今年もイースターに続きペテンテコステを迎えました。ペンテコステは、クリスマスやイースターと比較すると小さな出来事のように思ってしまう私たちですが、「聖霊」なくして教会の2000年の歴史はありません。

1)弟子たちの変化

 なぜ聖霊の働きがそれほど重要なのでしょうか。それは、弟子たちの姿の変化からうかがえます。もう一度イエス様が十字架にかかられた時の、弟子たちの姿を思い起こしてみましょう。イエス様が捕えられた時「皆は、イエスを見捨てて逃げてしまった」(マルコ14:50)とあります。筆頭弟子であったペテロは、同じように十字架に架けられることを恐れて、3度もイエスを知らないと言ってしまいました(マルコ14:66-72)。イエス様が十字架に架けられた後も「ユダヤ人を恐れて」家に閉じこもっていました(ヨハネ20:19)。このように、イエス様が目の前からいなくなったのと同時に、彼らは恐れと不安に支配されてしまい、力のない状態となってしまったのです。
 しかし、この使徒の働きでは、全く違う様子を見ることができます。周囲の人々の見る目が変わったのではありません。なおイエス様を信じる者たちへの厳しい状況は続いていました。変わったのは弟子たちでした。このような状況の中で、迫害を恐れることなく堂々と救い主イエス様のことを証言したのでした。そのターニングポイントとなったのが、まさにペンテコステ、聖霊降臨の出来事であったのです。

2)聖霊の力によって

 私たち教会なる一人ひとりも使命をいただいています。私たちは、クリスマスにこの世界に来られたイエス様の働きを継ぐ者として招かれています。その働きとは、真実の愛によってこの世界を回復していくことです。復活されたイエス様はそのような神の愛に満ち溢れた世界である「神の国」のことを弟子たちに語られたのです(3節)。そして私たちが本当の意味で、イエス様の後継ぎとなるために必要であったのが、聖霊であります。それゆえに、イエス様は弟子たちに「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい」(4節)と言われたのです。そして、「(その約束の)聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人とな」るのです(8節)。
 私たち一人ひとりがイエス様の働きを受け継ぐ者となっていきます。しかし、その動力(心臓部)は、私たちの力ではありません。まさに「能力によらず、権勢によらず、わたしの霊によって」(ゼカリヤ4:6)の御言葉にある通りなのです。これこそ私たちのスピリットであるのです。

3)必要不可欠な準備 

 イエス様が弟子たちにこの約束を語られた後、天へと引き上げられました(9-11節)。またもや弟子たちの目の前からイエス様がいなくなりました。しかし、今度はどうでしょうか。彼らの中に、慌てふためいたり、不安の中で恐れたりする様子はありません。それは、何をすべきかが明白であったからです。イエス様の約束のゆえに、彼らは希望を持って待ち望むことができたのです。
 この時に彼らがどのように待ち望んだかということは重要です。「彼らはみな、女たちとイエスの母マリア、およびイエスの兄弟たちとともに、いつも心を一つにして祈っていた」(14節)とあります。あの時のように恐れて一つの家に閉じこもっていたのではなく、祈るために一室に集まっていたのです。
 何か働きをするためには、やはり準備が大切です。私たちが使命を果たしていくために必要不可欠な準備とは何でしょうか。計画を立てることは大切です。しかし、さらに大切なのは祈りの準備であると、今日私たちに語りかけているのではないでしょうか。祈りを通して、私たちは聖霊の力と導きをいただくことができるからです。

 どうぞ、私たちもこの聖霊に満たされて、それぞれの地に遣わされてまいりましょう。