金 言 「ただし、わたしのしもべカレブは違った心をもっていて、わたしに完全に従ったので、わたしは彼が行ってきた地に彼を導き入れるであろう。彼の子孫はそれを所有するにいたるであろう。」(民数記14:24)

説教題 「神への絶対的な服従」
聖 書 ヨシュア記14章6~15節
説教者 中島秀一師
 
 毎週月曜夜に「逆転人生」という番組があります。毎回。どん底から這い上がった人々の赤裸々な話が放映されています。倒産寸前まで追い込まれた老舗旅館を見事に立て直した若女将の話。横綱を目前にした力士が膝の故障で序二段まで陥落したが、努力の甲斐あって見事に関脇まで返り咲いた話などです。本日はユダヤ民族の存亡をかけた「逆転民族」の話です。カデシ・バルネアにおける失敗の危機からユダヤ民族を救ったのが「違った心」(文語・心異にして)を抱いたカレブの「神への絶対的な服従」の信仰でした。

Ⅰ 神の約束に固く立つ信仰

 ナイルからカナン迄の直線距離は約300㎞です。単純計算すると約一ヶ月で到着できるのです。ところがその中間地点カデシ・バルネアにおける失敗によってその後ユダヤ民族は約40年間荒野を放浪することになりました。
1 信じることと従うこと
 カレブは神の約束を信じるだけでなく神の命令に服従した人でした。私たちはよく、「信じるけれども従わない」というようなことがありますが、本来は「信じることと、従うこと」は同じことなのです。神は「見よ、あなたの神、主はこの地をあなたの前に置かれた。あなたの先祖の神、主が告げられたように、上って行って、これを自分のものとしなさい。恐れてはならない」(申命記1:21)と約束されました。
2 見えるものと見えないもの
 10民族の代表は「わたしたちはその民のところへ攻めのぼることはできません。彼らはわたしたちよりも強いからです」(民数記13:28、31)と報告し、カレブは「わたしたちはすぐにのぼって、攻め取りましょう。わたしたちは必ず勝つことができます」(民数記13:30)と報告をしました。消極派は見える現実に、積極派は見えない神の約束に目を向けました。
 3 多数派と少数派
 結果的にユダヤ民族の民意は多数派に傾き少数派は退けられました。民衆は「エジプトに帰る方が、むしろ良いではないか」(14:3b)と嘆きます。キリスト教信仰においては、民意を越えた神の意思を伺うことが求められます。

Ⅱ 苦節40年を耐え抜いた信仰

 1 カレブは少数派であったが、主流派でもあった。
 カレブは少数派でしたが、決して多数派に同調することなく、自説を曲げることなく、生涯主流派としての信仰を守り通しました。
 2 カレブの信仰は立証された。
 神は「わたしに完全に従った」(民数記14:24)。モーセは「おまえが全くわが神、主に従ったからである」(ヨシュア記14:9)、カレブ自身は「わたしは全くわが神、主に従いました」(同14:8b)と証言しています。
 3 カレブの信仰の継承
 カレブの信仰は、第一代の士師となった甥であるオテニエルによって継承されました。因みにオテニエルの妻はカレブの娘・アクサです。

Ⅲ 神の恵みによって報われた信仰

 1 カレブは約束の地に入ることができた。
 2 高齢になっても心身の健康に恵まれた。
 3 約束された嗣業の土地を受けた。
 カナン入国から45年が経過した時に、カレブは「それで主があの日語られたこの山地を、どうか今、わたしにください」と大胆に要求しています。聖書は「そこでヨシュアはエフンネの子カレブを祝福し、ヘブロンを彼に与えて嗣業とさせた。」(ヨシュア記14:13)と記しています。
 高齢になっても衰えないカレブの信仰には驚くばかりです。私たちも「神への絶対的な服従」をもって信仰の道を歩ませて頂きましょう。

(問1) 神はなぜ多数派の報告を認められたのでしょうか。
(問2) あなたは「違った心」をもって、少数派の立場に立つことができますか。
(問3) あなたの信仰の報酬は何ですか。