金 言 そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。(マタイ10:1)

説教題 「イエスの権威によって」~弟子の派遣~
聖 書 マタイ10章1~15節
説教者 長谷部裕子師

今月は2018年度の最後の月でもあり、新年度への備えの月であります。ビジョンの<宣教>文言によって導かれた箇所マタイ10:1~11:1を、「イエスの権威によって」と題してテーマに4回に分け、イエス様がご自分の弟子を遣わしたことを考えていきたいと思います。本日の箇所はイエス様が十二弟子を選出して、弟子の心構えを教えた上で遣わしています。

1. 十二弟子の選出

イエス様はマタイ9:35で「イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。」とあります。イエス様は師としてリーダーシップを発揮されて精力的に、ガリラヤ地方の町や村を巡回伝道なされました。そこであちらこちらで弱り果てた群集を見るに及んで、心底彼らをあわれまれ何とかしなくてはならないと思います。自分ひとりで巡りまわる限界を感じて、神の国を拡大するためにもっと働き手が必要であると、弟子たちにお気持ちを打ち明けています。(マタイ9:37~38)
そこでイエス様は十二弟子をみもとに呼び寄せます。その方法はルカ6:12~13によると、人里離れてひとり山にこもって、夜通し祈って夜明けを迎えて、多くの弟子たちの中から十二人を選び十二使徒と名付けられました。こうして選ばれた十二使徒はどんなにか選りすぐった精鋭揃いかと思いきや、富も教育も社会的地位もない普通の人たちでした。ユダヤ社会に精通した特権階級ではなく、庶民の間から選ばれました。イエス様が求めておられたのは、神に従い忠実に働く平凡な人たちでした。イエス様はひとりずつの中に、現在の姿だけでなく、将来イエス様の感化を受けて成長する可能性をご覧になっていました。だからわたしたちも、自分はイエス様のために何の役にも立たないなどと悲観することは決してありません。イエス様はわたしたち凡人がささげるものでも、その御手に収められると偉大なものに用いられるお方です。キリストの教会はじつに平凡な人たちの集まりなのです。

2.弟子の心構え

こうして十二弟子を任命された理由は、マルコ3:14~15に、「彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教につかわし、また悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。」(新改訳2017)とあります。弟子ということばは、教えを受ける者や学ぶ者という意味があります。キリストが求めて、必要とされるのは進んで学ぶ人たちです。キリストに仕える者は、みそばで日々新たに学ばなければなりません。主のために働く弟子たちは、世に出てゆく前に、まずイエス様のもとで過ごすべきです。そうしてイエス・キリストのもとから人に遣わされていくのです。使徒という語は「遣わされた者」の意味で使われ、使節とか大使として用いられています。わたしたちはイエス・キリストの大使として遣わされるのです。万軍の主の命を受けるとは、なんと光栄でしょう。神は常に神の事業を託す人を探しておられます。「だれを、わたしは遣わそう。だれが、われわれのために行くだろうか。」(イザヤ6:8/新改訳2017)

3.イエスの権威によって

イエス様は十二弟子を宣教に遣わすにあたって、彼らに「天の御国が近づいた。」ことを知らせ、神に信頼し、神の権威をもって宣教を行いなさいと教えます。
十二弟子の第一回目の伝道旅行は、まずイスラエルの民に福音を伝えるという「緊急な必要」(マタイ9:36)のためにガリラヤ地方に限定されます。(5)イエス様ご自身はサマリヤの女に親しくやさしく語りかけ(ヨハネ4:4~42)異邦人の町ツロ・フェニキアの女の娘を癒されました。(マタイ15:28)マタイ福音書の最後では、全世界に出て行って、すべての国民に福音を伝えよとイエス様の宣教命令を伝えます。旅支度には、いっさいの金銭や下着や杖も持たず出かけなさいと勧めます。それは、金銭や物に頼らず神に信頼して、福音を伝える人々を信頼することを体得させるためでした。(8~10)さらに宣教の働きを、神の祝福と権威によって行うように命じられます。訪れる家で平和の挨拶をして祝福するように言われ、十二使徒にはその権威が授けられました。使徒パウロも「平和の福音の備えを足にはき」(エペソ6:15)と言いました。
わたしたちも神の祝福を人々に運ぶ平和の全権大使と遣わされて行きます。

【中高生の考えるヒント】

(問1)イエス様が徹夜で祈って決められた十二弟子はどんな人でしたか。
(問2)誰かに神様のことを話すその前に弟子がするべき大切なことは何ですか。
(問3)あなたはだれに真っ先に神様の良い知らせ(福音)を伝えたいですか。