金 言 「イエスがキリストであると信じる者はみな、神から生まれたのです。」
(ヨハネ第一 5:1)

説教題 「神の子とされて生きる」
聖 書 ヨハネ第一 5章1~5節
説教者 長谷部裕子師

今読まれた箇所は、12弟子の内のひとり使徒ヨハネが教会に当てて書いた手紙です。ヨハネによる手紙は新約聖書に三通が残されています。その中でも第一の手紙が書かれた背景には、この時代(紀元80年代後半~90年代初め)の教会には異端的な教えが入ってくる危険があったので、ヨハネは人々が誤った教えに振り回されることがないように、正しい福音の教理を示して、異端に対して警告を与えています。それらの助言は現代に私たちにも信仰の励ましになります。というのも世にあって少数派である日本人のクリスチャンには、日本の慣習や伝統(葬儀の風習や祭事など)、日本人の思想とキリスト教信仰が相容れないことがあり、そのために悩み惑わされて迷いが生じます。信仰の戦いが勇敢に戦えることもあればへこむことも多々あります。大人だけではありません。日本の教科書は仮説の一つである進化論だけを学校教育に取り入れています。「はじめに神は天と地とを創造された。」(創世記1:1)とあるように、聖書は創造論をはっきりと教えています。それだから中高生にこの疑問をスッキリして理解していただくために、夏のティーンズ・バイブルキャンプでは、どちらを信じるべきかを、荻窪栄光教会の会員で脳外科医である今中兄に特別講義をお願いいたします。興味深くためになる時間になると思います。
このように、信仰を揺るがせるようなことにぶつかる中で、私たちが「神の子としてされて生きる」ことは、身に余る光栄でありがたい恵みなのです。

1. 神から生まれた者

ヨハネは教会に忍び寄る異端的な教えに警戒を呼び掛けています。(4:1)彼らはイエス様がキリストであることを否定します。(2:22)イエス様が神の子であることを認めようとしなかった。(2:23)これらの誤った教えに対して、断固NO!と宣言したのが「イエスがキリストであると信じる者はみな、神から生まれたのです。」(5:1/新改訳2017)です。ヨハネはイエス様を救い主と信じる者は、神から生まれたと言っています。だれにでもこの世に生まれた日-誕生日があります。クリスチャンはこの世に生を受けた日とは別の誕生日があります。それは信仰をもって「新たに生まれ変わった日」です。英語ではborn-againと言います。
この手紙を書いたヨハネは自分の福音書3章でニコデモの逸話を書いています。ユダヤ人の高尚な議員だったニコデモが、人目を避けてイエス様を訪ねて来た夜のことを覚えていました。ニコデモは「人はどうやって神の国に入れますか。」と年若いイエス様に折り入って尋ねたかったのです。イエス様はニコデモの問いかけに「だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」(3)と告げます。年老いたニコデモは失敗を悔いて後悔だらけだけれど、いまさら人生をやり直すことなどできないと思い詰めていました。しかし、イエス様を救い主と信じるときに、どんな境遇の人も区別なく、産声をあげる赤ちゃん同様に「キリストにあって人は新しく生まれ変わり、新たな価値観と目標に向かって主にあって再出発できます。

2. 世に勝つ者

ヨハネは神から生まれたものは世に勝つと教えています。(4,5)世に勝つとは、競争に勝って一位になることではありません。「世」とは人間にとって慕わしく欲しがるものを総称したことばです。つまり肉の欲、目の欲、持ち物の誇です。(一ヨハネ2:16) わたしたちはイエス様の十字架によってきよめられて、罪が赦されて神から生まれたものとなりましたが、もともとあった罪深い性質は世の誘惑に弱いものです。だから世と距離を置いて、世を愛してはならないと教えます。世に執着してはならない、欲を避けなさいという神の御声が聖霊によって示されるとき、神と自分の欲のどっちつかずの態度を捨てて、神の側につくことによって「世に打ち勝った信仰」を会得します。
では何を根拠にイエス様は「しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」(ヨハネ16:33)と勝利宣言をされたのでしょう。今、健康で富や権力のある人も死は最大の脅威は「死」です。死は人の究極的な敗北です。イエス様は人類最大の敵「死」に対して「復活」をもって圧倒的な勝利を収めました。だからイエス様を救い主キリストと信じる者も神の子となり、世に勝つ者となりもはや何も恐れることはないのです。(ローマ8:37)

(問1) 「神から生まれた者」とは誰のことですか。
(問2) イエス様はなぜ「わたしはすでに世に勝っている」と言われたのですか。
(問3) あなたが「世に勝つ者」となるには、何をしたら良いですか。