金 言 「主は言われた、「あなたは労せず、育てず、一夜に生じて、一夜に滅びたこのとうごまをさえ、惜しんでいる。ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、あまたの家畜とのいるこの大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか。」(ヨナ4:10~11)

説教題 「あなたを惜しむ神の愛」
聖 書 ヨナ3:10~4:11
説教者 矢島志朗勧士

イスラエル北王国と敵対していたアッシリアの首都ニネベに対して、悔い改めを
迫るメッセージを語るようにと、神様は預言者ヨナに命じる。ヨナはこれを拒み、主
の前を離れてヨッパという地から船に乗り、タルシシュ(現在のスペイン地方)までの
逃亡を図る。激しい嵐が起こり、ヨナは海に投げ込まれて窮地に追い込まれて、よ
うやく主にすがって助けを求める。魚に飲み込まれたヨナの祈りを聞いた神様は、
魚に命じて彼を陸へと出した。

1.ヨナの怒り(3:10-4:5)

魚から出てきたヨナに神様はもう一度、「立って、あの大きな町ニネベに行き、あ
なたに命じる言葉をこれに伝えよ」(3:2)と命じられる。ニネベへの移動距離は1000㎞ほどあったと考えられる。12万人以上の人々が住み、歩き回るのに三日もかかる大きな町であった。ヨナがは「四十日を経たらニネベは滅びる」(3:4b)と語ったところ、王をはじめ人々は悔い改め、悪い道を離れた。神様はニネベの人たちを滅ぼすのをやめられた。
ヨナはこのことを非常に不快に思い、激しく怒り語った、「わたしはあなたが恵み深い神、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かで、災いを思い返されることを、知っていたからです」(2b)。そして、自分の命をとってほしいと願った。敵国アッシリアの、暴虐に満ちていたニネベが悔い改めることは、ヨナにとって受け入れ難かったのである。

2.あなたを惜しむ神の愛(4:6-10)

ニネベの町の東の方で小屋を作って様子を見るヨナに、神様はとうごまによる日陰を設けられた。これはヨナの「不機嫌を直そうとされた」(新改訳聖書)ことでもあった。「とうごま」は,パレスチナ地方ではごくありふれた植物であり、柔らかいつる状の茎とぶどうの葉のような大きな葉を有し、2,3日の短期間のうちに大きく生長して十分な日陰を作ることが出来る。しかし、茎が少し損傷しただけでも枯れてしまうひ弱な性質を持っている。
ヨナはこのとうごまを喜んだ。しかし、ヨナが喜んだのは,主が特別な配慮を自分
にして下さったことに対する自己満足によるものでしかなかった。翌日に、虫に食べられてとうごまが枯れた後の怒りはすさまじく、自分の快適さが奪われた、自分の怒りは当然だと語る。焦点は完全に自分自身である。神様は「とうごまのためにあなたの怒るのはよくない」と語られたが、ヨナは「わたしは怒りのあまりに狂い死にそうです」と答えた(9)。
そして神様はヨナに語られた。
「あなたは労せず、育てず、一夜に生じて、一夜に滅びたとうごまをさえ、惜しんで
いる。ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、あまたの家畜のいるこの大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか。」(10~11)
ヨナは、まじめで熱心な預言者であった。神様を愛して、自分の国を愛していした。その思いが強すぎ、ニネベ人たちをゆるせなかった。敵であり、悪行を重ねる彼らが赦されるなど、あってはいけないことであった。しかしそれはヨナの限界ある思いであって、神様の思いは、それよりずっと大きかった。どんな悪人でも、イスラエルの民であってもなくても、私たちが滅びること望まず、心から惜しんでおられる。罪を悔い改めて自分を信じてほしい、赦したいと常に思い、招いてくださっている(Ⅱペテロ3:9)。
 この神様の愛が、私たちにも同じように注がれていていることを覚えたい。偏った熱心さを持っていた預言者ヨナも深く愛されていたように、私たちには弱さや欠けがありながらも神様に愛されていることを感謝したい。日々の交わりを通じて、神様の思いと同じ思いを持たせていただけるように変えられていきたい。私たちの身近にいる大切な人のみならず、すべての人々を神様が等しく愛されている。その神様を知り続ける者とされて、福音を伝えていきたい。

(問1)ニネベの人たちが悔い改めて、ヨナはどう反応しましたか。それなぜですか(3:10-4:6)。
(問2)とうごまがなくなってしまったとき、ヨナはどう反応しましたか。それなぜですか(4:7-8)
(問3)神様は人間に対して、どのような思いを持たれているでしょうか(4:9-11)