金言
「その教えとは、あなたがたの以前の生活について言えば、人を欺く情欲によって腐敗していく古い人を、あなたがたが脱ぎ捨てること、また、あなたがたが霊と心において新しくされ続け、真理に基づく義と聖をもって、神にかたどり造られた新しい人を着ることでした。」(エペソ人への手紙4:22〜24)

説教題 「新しい人を着る」
聖 書 エペソ人への手紙4章17~32節
説教者 栗本高仁師

 振起日を迎えましたが、神様から力をいただきつつ、秋の働きへと進ませていただきましょう。まだまだ残暑が続きますが、私たちは秋・冬を迎えるにあたって、衣替えをしていきます。私たちキリスト者が成長するためにも、まさに「衣替え」が必要であると、パウロは語ります。

1)古い人を脱ぎ捨てよう

 私たちはイエス様を信じて、恵みによって「聖徒」とされました(1:1)。しかし、依然として罪に悩んでしまいます。そのため、パウロは「古い人を脱ぎ捨てること」(22節)が大切であると言います。私たちが、古い人を着たままにするとどうなるでしょうか。それは、私たちの身を滅ぼすことになります(22節)。その原因は「欺き」という名の欲望であり、その根本に罪があります(ローマ7:11)。人を騙すだけでなく、自分自身をも騙し続けるがゆえに「腐敗していく」のです。パウロは、それを「異邦人のようなむなしい歩み」である、と言います(17節)。民族的なことを言っているのではありません。むしろ、神を必要としない生き方です。ですから、「神のいのちから遠く離れて」(18節)しまいます。私たちも自らを欺き続けるのをやめて、この古い人を脱ぎ捨てたいのです。

2)新しい人を着よう

 古い人を脱いだ私たちが、その後に何を着るのかが大切になっていきます。パウロは「真理はイエスのうちにある」と力強く言います(21節)。イエス様ご自身が「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです」(ヨハネ14:6)と言われた通りです。だから、私たちが着るべきものは、真理なる「キリスト」です(ローマ13:14)。そこには全く欺きがありません。そして、イエス様こそが「完全なる神のかたち」であるがゆえに、私たちは「真理に基づく義と聖をもって、神にかたどり造られた新しい人を着ること」(24節)ができるのです。本来の「神のかたちの回復」です。もちろん、それは一回きりのことではないでしょう。私たちは衣替えをし続けて、「霊と心において新しくされ続けていく」のです(23節)。御言葉と祈りによるキリストとの交わりによって、私たちも日々新たにさせていただきましょう。

3)具体的な勧め

 では、古い人を脱ぎ、新しい人を着ることとは、具体的にどういうことでしょうか。まず、言葉に関することです。「偽りを語り」、「悪い言葉を放つこと」から、「真実を語り」、「人の成長に役立つことばを語ること」へと変えられていくのです。次に、心の思いに関することです。イエス様が「心に満ちていることを口が話すのです」(マタイ12:34)と言われたように、「心の思い」と「ことば」は密接であり、私たちは心の内側を変えていただく必要があります。どうぞ「無慈悲、憤り、怒り、怒号、ののしり」といった悪意から、「親切心、優しい心、赦し合う心」といったイエス様の心に変えていただきましょう。最後は振る舞いに関することです。私たちは明らかな盗みをすることはないでしょうが、自分の利益のためにごまかしてしまうことはないでしょうか。「正しい仕事」をするように変えさせていただきましょう。
 具体的な勧めがなされていますが、共通していることは「隣人と共に生きる」という視点です(25,28,29,32節)。「私たちは互いに、からだの一部分なのです」(25節)とあるように、「一人ひとりが欠けてはならない大切な存在である」と意識する時、「新しい人を着る」歩みが始まっていくのではないでしょうか。

 しかし、「古いものを脱ぎ捨て、新しい人を着ること」は、自分の力でできることではありません。だからこそ、私たちのうちにおられる「聖霊」にお頼りさせていただきましょう。