金言
「わたしは後のことを初めから告げ、まだなされていないことを昔から告げ、『わたしの計画は成就し、わたしの望むことをすべて成し遂げる』と言う。」(イザヤ46:10)

説教題 「主が言われた通りに」
聖 書 出エジプト記12章29~51節
説教者 栗本高仁師

 私たちにとって、信頼できる方は、どのような人物でしょうか。一つに、有言実行をする方ではないでしょうか。まさに、私たちの信じる神は、言われたことを必ず成し遂げるお方です。

1)第十の災いが起こる

 第十の災いについて、ファラオに対しては警告を、イスラエルの民に対しては準備すべきことを語られました。いよいよ、主が言われていた通りのことが行われます(29節)。その結果、エジプトには激しく泣き叫ぶ声が起こった、とあります(30節)。私たちは、罪がもたらす悲惨さを感じざるを得ません。
 ファラオはその悲惨な光景を目の当たりにし、急いでモーセとアロンを呼び寄せます。全てのものを連れて「私の民の中から出て行け。…行って主に仕えよ」(31節)と言われます。ここまで、ファラオは何かと条件をつけていましたが、今回は「おまえたちがいう通りに」(31,32節)と全面的に受け入れます。さらに、彼らは「エジプトに銀の飾り、金の飾り、そして衣服を求め」ます(35節)。すると、エジプトがこの民に好意を持つように、主がされたので、イスラエルはもらうことができます(36節)。
 実は、これらのことは主が最初からモーセに告げていたことでした(3:19-22)。このように、しっかりと先を見通して、有言実行してくださるお方なのです。

2)父祖アブラハムの時から予告されていた

 その後、イスラエルの民はラメセスからスコテに向かって旅立ちます(37節)。その数は何と成人男性だけで約60万人でした。さらに、そこには、多くの異国人、またおびただしい数の家畜も、上っていきました(38節)。そして、急いで出たために、十分な食糧の準備ができず、途中で種なしのパン菓子を作ります(39節)。実は、このことが種なしパンの祭りを祝う起源となります。このようにして、彼らは急いでエジプトを出発したことがわかります。
 急いで出発した彼らですが、それでも主の側では計画通りです。興味深いことに、ここでイスラエルの子らがエジプトに滞在していた期間が「430年」であると書かれています(40節)。なぜ、このようなことが記されているのでしょうか。それは、まさに主が有言実行されたということを示すためです。すでに、イスラエルの民の父祖アブラハムの時に予告されていたのです(創世記15:13)。
 神はただ単に少し先のことだけでなく、天地を治める創造主であるからこそ、先のことまで見通して、そのことを実現してくださるのです。

3)諸国の民を祝福する使命も

 ここで、唐突に「過越の祭り」に関する規定が始まります。なぜ、このようなことが記されるのでしょうか。それは、この「過越の祭り」に誰が与れるのかという問題があるためです。先ほども見たように、そこにはイスラエルの民だけでなく多くの異国人がいました。それでは、どのようなことが言われているでしょうか。まず、「異国人はだれも」、また「居留者と雇い人」も、「これにあずかってはならない」とあります(43,45節)。しかし、あずかる方法が残っていました。それが、「割礼」を受けて、イスラエルの民の一員となるという方法です(48節)。このようにして、主は異国人に対しても「救いの恵みにあずかる」特権を与えたのです。
 私たちは、異邦人が救われるのは、新約時代に入ってからだと思っているかもしれません。しかし、実は聖書は一貫して、全ての民が救われる道を用意されていました。まさに、このこともアブラハムの選びのときから予告されており(創世記12:1-3)、主は有言実行されたのです。

 私たちの神は「わたしの望むことをすべて成し遂げる」と力強く宣言してくださっているのです(イザヤ46:10)。この神に信頼し続けていきましょう。